2008.09.30
肺炎で総合病院に紹介し、即日緊急入院になっていた患者さんが、退院を機に再びかかりたいと言って、「紹介状を携えて」戻って来られました。患者さんのこのような態度が、病診連携(病院と診療所の役割分担)をうまく進めるカギになってくると思います。そのような流れの中で、町医者として期待に応えられるような、全人的医療(介護)を提供してゆきたいと思います。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080923-OYT8T00218.htm
紹介、さらに逆紹介という流れが定着することは、患者・医師双方にとってメリットがあると考えられます。
逆紹介 専門医の負担軽減
「次の受診は半年後の来年2月ですね」と話す増田さん(手前)と井村さん(静岡県焼津市立総合病院で) 糖尿病の治療をしている静岡県焼津市の増田和吉(わきち)さん(77)には、二人の主治医がいる。一人は市立総合病院の糖尿病専門医で、もう一人は近くの開業医だ。
若いころから血糖値が高いと指摘されていた増田さん。漁師の仕事の忙しさを理由に受診を怠っているうち、病気が進行し、56歳の時にインスリン治療が必要になった。朝晩の2回、自分でインスリンの注射を打つ。病状の方はおかげで安定している。
通院していた同病院代謝内分泌科長の井村満男さんから、開業医への“逆紹介”の説明を受けたのは2006年7月のことだ。
開業医から病院へ、が普通の流れ。その反対の逆紹介の狙いは、治療は必要だが病状の落ち着いている患者については、できるだけ一般の開業医で診てもらおうというものだ。井村さんは「周辺の4市4町で専門医のいる病院はここしかなく、すべてを診るのは無理。急増する糖尿病患者に対処するには、開業医を含めた地域全体で診る仕組みが必要」と話す。
とは言っても、患者にとって病院を離れるのは不安だ。かかりつけの開業医がいない増田さんはなおさらで、「見放されるのでは」と、最初は心配になった。
そこで井村さんが導入したのが、病院と開業医との二人主治医制だ。患者はふだんは開業医に通い、増田さんのようにインスリン治療をしている場合は半年に1度、その他の患者は年に1度、病院で詳しい検査を受け、専門医に診てもらう仕組みだ。約3000人いた同病院の糖尿病患者のうち500人を、この2年余りで、計33か所の協力開業医へ逆紹介した。
近くの内科開業医を紹介された増田さん。病院では3か月ごとの受診だったのが、開業医へは月1回通院している。「病院は予約があっても診てもらうまで半日がかりだったので、今の方が便利」と話す。
血糖値が下がりすぎたためインスリンの量を減らした――こうした治療の変更情報などは文書でやり取りされ、二人の主治医の間で情報が共有される。
心臓の持病もある増田さんにとって、いざという時のために病院とつながっている安心感もある。病院の眼科には糖尿病網膜症の治療のため、今も通っている。
読売新聞社が全国の主要施設に行った「病院の実力」アンケートでも、専門医に患者が集中している実態が明らかになった。逆紹介を普及させるには、患者の側の理解も大切だ。
(2008年9月23日 読売新聞)