2009.04.06
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20090401ddm002040030000c.html
一般の方にもだいぶ浸透してきている認識だと思います。日本全国どこでも似たような、薄氷を踏む様な医療体制なのだということをさらによくご理解頂いて、ご自身の対処法を是非とも考えて頂きたいと思います。若くして大病に罹らないようにする、体に悪いことが明らかなもの(喫煙など)はできるだけ遠ざける、すでに大病を患っている方は救急時の対処方法をあらかじめ主治医に確認しておく、などでしょうか。日頃から医療関係のニュースにアンテナを張っておくことも大切と言えるでしょう。
<医療クライシス>コストカットの現場で/2 救急医も研修医も足りない
2009年4月1日(水)13:00
◇宿直「もう限界」…退職
3人の研修医には3日に1度ずつ、宿直してもらっていた。2人に減ったからといって、さすがに2日に1度にはできない。「もう持ちません」。鳥取大病院救命救急センターの八木啓一・前センター長は06年度末、病院側に伝えた。
当直は、センター常勤医と研修医の2人体制。だが、06年度からは研修医の減少分を7人の常勤医で穴埋めする状況になっていた。
八木さんは医学部の教授も務めていた。ともにセンターで働く准教授と2人で、学生の教育や実習を年45コマ以上担当。土日は救急隊や開業医向けの講習などにも追われる。
医師不足は他の診療科も同様だ。同病院では06年2月以降、宿直をやめてオンコール体制(緊急時は自宅待機の医師を呼び出す)への移行が進んでいる。現在は21科のうち精神科など6科が宿直を廃止し、胸部外科など3科も一部の日しか宿直しない。このためセンターの宿直の負担が増す悪循環に陥った。
それでも何とかセンターの運営を続けた。08年12月には常勤医が1人減り、八木さんは自身の宿直を月1回から4回に増やすことで乗り切ろうとした。
だが、50代半ばの体には負担が大きい。夕方には動けないほど疲れ果てていることもしばしば。「続けるのは無理」と感じ、今年3月末にセンターの他の3人とともに退職した。鳥取大は4月以降、各科からの派遣医師でセンターを維持するが、前途は険しい。
「放り出して辞めるのはひどい、という声も分かる。本当に申し訳ないが、退職という形で訴えないと、この状況は変わらないと思った」
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宿直について、労働基準法に基づく通知は「病室の定時巡回など軽度・短時間の業務で、十分な睡眠時間が確保されなければならない」とする。
だが、次々と患者が搬送され、日中と変わらない激務の「宿直」をする勤務医は多い。労基法を守ろうとすれば、宿直を廃止せざるを得ない病院が続出するのは必至で、解決策の一つは交代制勤務を導入することだ。
医師8人で3交代制勤務を敷く市立広島市民病院救急診療部。08年度は約5300件の救急搬送を受け入れたが、医師は4週間で8日の休みがとれ、残業はほぼない。
同部は初期診療が中心で、入院した患者は各科の宿直医が対応する。内藤博司部長は「交代制勤務ができるのは、病院全体の協力があるから」と話す。
しかし、同病院は例外的な存在だ。06年度から2交代制勤務を導入した和歌山県立医科大病院救命救急センターの篠崎正博センター長は「いつまで維持できるか分からない」と不安を漏らす。
所属医師約15人に加え、各科から約10人の応援を受けている。だが08年度、派遣の難しい科が出始めた。研修医の応援でしのいでいるが、10年度以降の体制は未定という。
篠崎センター長は訴える。「救急は赤字だと言うが、必要な費用は診療報酬で賄えるようにしてほしい。職員を増やし、労働環境が改善されれば、救急をやりたい人も増えるはずだ」