2009.05.13
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/soudan/20090508-OYT8T00448.htm
ゴールデンウィークが終わったこの時期、うつ病の発症に気をつけておきたいものです。私は大丈夫、と決め付けずに、日常生活を見直すことから始めてみてはいかがですか?
環境の変化で増えるうつ病 新生活を張り切ってスタートしたのに、最近やる気が出ない、朝早く目覚める、疲れやすい。
それは「うつ病」のサインかもしれません。何事も完璧にやり遂げようと頑張り過ぎていませんか? 気がつかないうちに進行していくので注意しましょう。
心身の警鐘に早く気づくことが大切。自分に厳しくなり過ぎず、今日が終わればそれでよし?という気楽さを持つことも必要です。
生活の変化などをきっかけに気分が憂うつになる、体がだるくなる。こうしたことは、多かれ少なかれ誰もが経験していると思います。いわゆる「五月病」もそのひとつですが、たいていは、時間の経過とともに回復していくものです。
しかし、いつまでもつらい症状が続き、何もする気になれない、人に会いたくないなど、日常生活に支障をきたすようになると「うつ病」の可能性があります。
うつ病は青年期から高齢期まで幅広い年代で起こり、中年期以降で発症が増えます。女性は月経や妊娠・出産、更年期などで女性ホルモンの変動があるため男性よりも発症しやすく、家事や仕事、子育てなどの悩みが重なれば、リスクはより高まります。最近は、急激な社会情勢の変化からか男性の発症も増加傾向にあり、うつ病で病院を受診する人(躁うつ病※を含む)は、この10年で約2倍となっています。
※異常な気分の高揚と落胆を繰り返す病気
早期受診・あせらず治療が鉄則
うつ病患者の4分の3は、食欲不振や体のだるさを訴えています。もっとも大切なのは、そうした?心身の警鐘?に早く気づくこと。「そのうち治る」と安易に見過ごしていると、どんどん悪化していきます。原因不明の体調不良などつらい症状が続く場合は、早めに精神科や心療内科などを受診しましょう。
うつ病の治療は心と体の休養が基本ですが、抗うつ薬による薬物療法を行う場合もあります。その人に合う薬を症状などに従って少しずつ変えていくので、服薬期間が数か月になることが稀ではありません。性格や生活状況が深く関わっている場合には、認知行動療法などの心理療法を行い、環境を調整するために数年の通院が必要になることもあります。あせらずじっくり治していくことが、再発を防ぐうえでも大切です。
うつ病にならないために
うつ病は「心のかぜ」と言わるように誰でもかかり得る病気です。発症しやすい性格としては、完璧主義、他人に気を使いすぎる、物事に熱中するがちょっとしたことで落胆するなどがあげられます。こうした人は、自分に厳しくなり過ぎる傾向にあるものです。時には?今日が終わればそれでよし?という気楽さを持つことも必要です。手に余ること、悩み事などがある場合は、一人で抱え込まず家族や友人に相談しましょう。
うつ病の人が周囲にいる場合は、その人は怠けているわけではないことを理解し、休養を取れる環境を整え、決して「頑張れ」と励まさないことが重要です。
(野の花メンタルクリニック(東京・武蔵野市)院長 野田恭平さん)
うつ病の自己診断 1週間のなかでほぼ毎日ある項目をチェックする
1 人に会うのがおっくうだ
2 テレビや新聞を見なくなった
3 疲れやすく、すぐ横になりたくなる
4 自己嫌悪になり、将来が不安
5 ささいなことをクヨクヨ考える
6 眠れない。または朝早く目が覚める
7 食事がおいしく感じなくなった
※診断/該当項目が3つ以上あれば、うつ病の可能性がある(野田恭平医師作成)
(2009年5月8日 読売新聞)