2009.05.15
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090510-OYT1T00143.htm
現在までの情報を基にした対策法です。比較的よくまとめられていますので、参考にしてください。
新型インフルQ&A…予防・治療は、慢性疾患のある人は?
マスクを付け、カナダからの到着便を待つ航空会社の職員=安川純撮影 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染者が、ついに国内でも確認された。世界で感染が広まるにつれ、ウイルスの特徴も少しずつ分かってきた。注意したいポイントなど、基礎知識をまとめた。
Q 普通(季節性)のインフルエンザとどう違うの?
A 毎年流行するAソ連型と同じH1N1型だが、新型で人に感染したことがなく、だれも免疫を持っていない。せきやくしゃみの飛沫(ひまつ)、ウイルスに触れた手などを介して感染する点は同じだ。感染力はやや弱いという見方が強い。
Q 症状は?
A 突然の熱、せき、鼻水、全身のだるさや筋肉痛など、症状は季節性のインフルエンザと変わりがない。一般にインフルエンザは、38度以上の高熱が診断上の目安とされるが、それより低い場合もある。また、下痢を起こす率が40~50%と高い。感染しても、比較的軽症で済んでいる。
Q 予防法は?
A 帰宅時は手洗いを励行しよう。せっけんをつけ、手のひらをこするだけでなく、手の甲、指の間、つめや指先、親指や手首の回りを念入りに。厚生労働省の対策ガイドラインによると、最低15秒以上洗うのが目安。洗う前の手で触れた蛇口も一緒に洗う。流水で流したら、清潔なタオルでふく。ウイルス汚染の可能性があるつり革やドアノブを触った後も手洗いを。うがいもやらないよりはいい。部屋が乾燥していたら、湿度50~60%に加湿したほうが感染しにくくなる。
Q 発熱やせき、くしゃみといった症状が表れたらどうすればいい?
A 新型が確認された国から帰国して10日を過ぎて症状が出た場合や、帰国した人と接触した覚えがない場合、医療機関を直接受診してかまわないし、医療機関は受診を拒否できない。
Q 帰国したばかりだったり、帰国者との接触があったりしたら?
A 直接、医療機関には行かず、各都道府県の健康担当部署(健康対策課、保健衛生課など)や保健所に設置されている発熱相談センターなどに電話で問い合わせ、指定された医療機関を受診する。
Q 治療法は?
A 多くは軽症で回復しており、安静にして治るケースも多い。インフルエンザ治療薬のタミフルとリレンザは、新型に対しても早めの処方で効果が期待できる。妊婦の使用については、胎児への悪影響は報告されておらず、米国疾病対策センター(CDC)は先月末、「妊婦であっても治療すべき」と勧めている。
Q 感染に特に注意した方がいい人は?
A 米国でもメキシコでも高齢者の感染者が少ないことが特徴だ。免疫がある可能性が指摘されるが、高齢者は一度感染すると、細菌性の肺炎や臓器障害を合併して重症化し、死亡に至る危険性が高いので油断できない。子どもや妊婦、糖尿病など慢性疾患のある人も重症化しやすい。国立成育医療センター感染症科の斎藤昭彦医長は「乳幼児は自分の症状が伝えられないので、ミルクの飲みが悪い、機嫌が悪いなど小さな変化に注意を」と助言する。
Q 慢性疾患を持つ人は、どう気をつけたらいいの?
A 肺気腫(きしゅ)などの肺疾患、心臓、腎臓、肝臓、血液の病気、糖尿病、がんなど、慢性疾患があると重症化の危険性が高くなる。患者の感染対策に取り組む静岡県立静岡がんセンターの大曲貴夫・感染症科部長は「とにかく感染しないことが大切。外出を控え、手洗い、うがいなど基本の対策を徹底してほしい」と呼びかける。
糖尿病患者の血糖値を下げるインスリンなど、毎日欠かせない薬がある人は、多めに処方を受けられるかどうか、もし新型インフルエンザに感染した場合、どの病院にかかればいいのか、かかりつけ医に確かめておきたい。
Q もし国内で大流行したら、どうすれば?
A その場合を考えて2週間程度の食料品や日用品は備えておきたい。流行の兆しがあったら、なるべく外出を控え、不要不急なら医療機関の受診は控えた方が無難。様々な患者が集まってくる病院は、かえって感染リスクが高いからだ。
Q 流行すると、重症者以外は自宅待機となる場合もある。家庭でのケアで気を付けることは?
A 聖路加看護大の堀成美・助教は「基本的には普通のインフルエンザの看病と同じ」と話す。看護は特定の人が担い、病人にかかわる機会は最小限に。用がない人は近寄らない。お見舞いや来客は断って。看護する人はマスクをし、病人にもマスクをさせよう。看護が終わったら忘れずに手を洗う。部屋は閉め切ったままにしないで、時々は換気することも必要だ。
Q マスクの効果は?
A 予防効果は万全ではないが、しないよりまし。むしろせきやくしゃみのしぶきが主な感染経路なので、感染者がマスク着用を徹底すれば、感染拡大を抑える効果が期待できる。大事なのは「せきエチケット」としての着用だ。マスクを着けずにせきをする時は、人のいない方を向き、ティッシュなどで口を覆うか、前腕部の袖口で口を押さえる。手で口を覆ってせきをしたら、手洗いを忘れずに。(医療情報部 山口博弥、高梨ゆき子)
(2009年5月10日03時32分 読売新聞)