お知らせ

  • 「夫の親介護なら離婚」

2009.07.05

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20090623-OYT8T00725.htm

介護は家族の総力戦になります。日頃から介護について話し合っておく必要があります。


「夫の親介護なら離婚」

増える事例背景に「女性頼み」

介護の仕方を習う小林さん(左端)(大分県社会福祉介護研修センターの介護予防教室で) 夫の親の介護が必要になる前に別れる「介護前離婚」が増えている。背景にあるのは、家庭に無関心な夫の態度や、嫁や娘頼みの介護の実態だ。離婚する事態にならないためには、男性にも「介護力」が必要だ。(梅崎正直、写真も)

仕事一筋の夫
 40歳代前半のカオリさん(仮名)は、夫と小学生の2人の子供、夫の両親の6人で暮らしてきた。夫はまじめな性格で、浮気や暴力とは無縁。周囲から見れば幸せな家庭に違いなかった。

 しかし、カオリさんは不満を抱えていた。夫は仕事一筋で、子供や家のことには無関心。夫婦の会話がない日々が何年も続いたある日、義父が体調を崩した。病院へ付き添ったカオリさんはふと思った。「義父が動けなくなったら、車いすを押すのは私……」

 家事、育児を手伝ったことがない夫が介護をするとは思えない。夫に愛情を感じられず、その親の介護を引き受けるのは我慢できない。子供が小学校を卒業したのを機に、今年、子供たちを連れて家を出た。

 東京都渋谷区の相談室「離婚110番」(渋川良幸代表)には、同様の相談事例が昨年から増えてきた。

 「実際に親の介護が必要になってからではなく、それが現実化する前に離婚したい、という相談です。40~50歳代の妻に多い。『夫が育児や家事に非協力的』『夫婦間の対話がない』というケースが多く、夫の普段からの姿勢が問われます」と代表の渋川さんは言う。

 日本大学の「健康と生活に関する調査」(2006年、約3400人対象)では、高齢者(68歳以上)が「介護してほしい」と思う相手の1位は配偶者(39・9%)だが、2位は娘(18・3%)、3位は嫁(12・7%)。実の息子は6・2%。夫との不仲に加え、女性に頼る家族介護の実態が妻への圧力となり、「介護前離婚」を生み出しているともいえる。

やはり実の親
 同じく離婚に関する相談を受けている「東京家族ラボ」(東京都豊島区)主宰の池内ひろ美さんのもとにも相談が相次ぐ。

 ヤスコさん(仮名)は60歳。夫の定年を機に離婚したいと思っている。義母は80歳を超え、独身の息子2人と3人暮らし。このままでは夫に加え、義母や夫の兄弟の世話までが自分の肩にのし掛かってくると思われた。一方、自分の両親は故郷で2人暮らし。「介護をするなら、自分の両親を」とヤスコさんは話す。

 池内さんは、介護前離婚には二つのパターンがあり、一つは義父母の介護をしたくないケース、もう一つは離婚して実父母の面倒を見たいケースだという。ヤスコさんはこの両方に当てはまる。少子化で子供の数が減っているのを受け、「実家の両親が離婚を支援する例も多い」(渋川さん)そうだ。

 そうした中で、親の介護を真剣に考える男性も増えてきた。大分市の大分県社会福祉介護研修センターの介護予防教室にはここ数年、男性受講者が目立つようになった。

 「母や姉に介護が必要になった時のために」と参加した同市内の小林信彦さん(34)は、現在は独身。将来は結婚もしたいが、「家族は自分で介護したい」と話す。

 今年は「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」も結成され、互いに支え合う動きも始まっている。

 オトコの魅力は「介護力」という時代が来るのかもしれない。

 ◆男性介護者と支援者の全国ネットワーク http://dansei-kaigo.jp/
 ◆離婚110番 (電)03・3468・8066 http://www.rikon110.com/
 ◆東京家族ラボ (電)03・3953・3395

介護前離婚を避けたい 夫への助言4か条
〈1〉妻へのねぎらいの言葉を忘れない
〈2〉力のいる仕事は進んでやる
〈3〉夫婦のコミュニケーションをとる努力をする
〈4〉普段から家事、育児に参加する
(池内さんのアドバイスより)

(2009年6月23日 読売新聞)